始める前に用意する3つのもの
2段階認証は、パスワードに加えて「本人だけが持っているもの」で確認するしくみです。パスワードが漏れても、確認コードがなければ他人はログインできません。設定には次の3つを用意します。
1. ふだん使っているスマホ。確認コードを受け取る端末になります。OSは最新版に更新しておきます。古いOSではメニューの名前や場所がこの記事の説明と違うことがあります。
2. 予備の電話番号。スマホをなくしたときにコードを受け取るための番号です。家族の携帯電話や、自宅の固定電話などが使えます。メインと同じ番号では予備になりません。
3. メモの保管場所。バックアップコードや復旧キーを書き写す紙と、それをしまう場所を決めておきます。このメモをスマホの中だけに保存すると、スマホをなくしたときに一緒に失います。紙に書いて、財布ではなく自宅の決まった場所にしまうのが安全です。
設定前に知っておきたい3つのつまずきポイント
SMSと認証アプリは仕組みが違う
SMSは、登録した電話番号にショートメッセージで確認コードが届く方式です。電話番号さえあれば使えて手軽です。ただし、電波がない場所では届きません。また、他人が電話番号を不正に乗っ取る「SIMスワップ」という手口の被害を受けることがあります。
認証アプリは、スマホの中で30秒ごとに新しいコードを作るアプリです。Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorなどがあります。通信がなくてもコードが出るので、SMSより安全とされています。なお、Apple Accountは認証アプリに対応していません。Apple Accountでは、自分のiPhoneやMacなどの「信頼できるデバイス」と、SMSや音声通話で届くコードを使います。
バックアップコードを保存し忘れる
Googleアカウントでは、使い捨てのバックアップコードを作れます。スマホも電話番号も使えないときの最後の手段です。設定の途中で表示されたのに、閉じてしまって控えていない人が多い部分です。コードはあとからでも作り直せるので、忘れた場合は手順2で作成します。
機種変更すると認証アプリのコードが消える
認証アプリのデータは、基本的にそのスマホの中にあります。何も準備せずに古いスマホを初期化すると、コードを出せなくなります。Google AuthenticatorにはGoogleアカウントへの同期機能と「アカウントを移行」機能があります。ほかのアプリにも移行機能を持つものがあります。いずれの場合も、古いスマホを初期化するのは、新しいスマホでコードが出ることを確かめてからにします。
手順1:2段階認証を有効にする
Apple Account(iPhone)
「設定」アプリを開き、いちばん上の自分の名前をタップします。続けて「サインインとセキュリティ」をタップします。「2ファクタ認証」が「オン」と表示されていれば、設定は済んでいます。最近作ったApple Accountは、最初からオンになっていることが多いです。
オフの場合は「2ファクタ認証をオンにする」をタップします。続いて、確認コードを受け取る電話番号を入力し、SMSか音声通話を選びます。届いたコードを入力すると有効になります。以後、新しい端末でサインインすると、手持ちのiPhoneに確認コードが表示されます。なお、Appleは2ファクタ認証を一度オンにしたアカウントの多くでオフにできないと案内しています。
Googleアカウント(Android・iPhone共通)
Androidでは「設定」→「Google」→「Googleアカウントを管理」の順に開きます。iPhoneではブラウザでGoogleアカウントの管理ページを開きます。「セキュリティ」タブの「Googleにログインする方法」から「2段階認証プロセス」を選びます。
画面の案内に従って電話番号を登録し、SMSで届いたコードを入力すると有効になります。そのスマホでGoogleアカウントにログインしていれば、「Googleからのメッセージ」も使えます。ログイン時にスマホへ届く確認画面で「はい」をタップするだけで済む方式です。
手順2:予備の確認手段を登録する
有効化しただけでは、スマホをなくすとログインできなくなるおそれがあります。必ず予備を登録します。
Apple Accountでは、「サインインとセキュリティ」で「電話番号」を開き、「編集」から「信頼できる電話番号を追加」をタップします。ここに予備の電話番号を登録します。次に「アカウントの復旧」を開き、「復旧連絡先を追加」で家族など信頼できる人を登録できます。同じ画面から「復旧キー」(28文字の英数字)も作れます。ただし、復旧キーをオンにすると、Appleのアカウント復旧窓口が使えなくなります。キーと端末を両方なくすと、二度とログインできなくなる可能性があります。紙に書いて保管できる人だけがオンにします。
Googleアカウントでは、「2段階認証プロセス」の画面で「電話番号を追加」から予備の番号を登録します。「バックアップコード」から使い捨てコードを作成します。コードは10個で、各コードは1回ずつ使えます。紙に書き写して保管します。認証アプリも使う場合は、「認証システム」からQRコードを表示させてアプリで読み取ります。
手順3:ログインできなくなったときの復旧手順
Apple Accountは、まず手元の信頼できるデバイスを探します。電波がないiPhoneでも、「設定」→自分の名前→「サインインとセキュリティ」→「確認コードを入手」でコードを表示できます。端末がない場合は、信頼できる電話番号に届くSMSを使います。どちらも使えないときは、Appleの公式復旧ページから「アカウントの復旧」を申請します。本人確認のため、ログインできるまで数日以上かかることがあります。待っている間に別の方法でログインを試すと、手続きが取り消される場合があります。
Googleアカウントは、ログイン画面で「別の方法を試す」を選びます。予備の電話番号、バックアップコード、認証アプリなどから使えるものを選びます。どれも使えないときは、Googleのアカウント復元ページから手続きします。ふだんログインしている端末と場所から行うと、本人と認められやすくなります。
どちらの手続きも、条件や所要時間は変わることがあります。困ったときは、各社の公式ヘルプで最新の手順を確認してください。
設定後に一度だけやっておく確認
設定を終えたら、パソコンやブラウザのシークレットモード(履歴を残さない閲覧モード)で一度ログインしてみます。確認コードが届いて入力できれば完了です。次に、保管したメモを見ながら、予備の電話番号が今も使える番号かを確かめます。今後、電話番号を変えたときと機種変更をする前は、登録情報を更新します。この2つのタイミングを忘れなければ、ログインできなくなる事態はほぼ防げます。