5G・4G/LTEは「通信方式」、対応バンドは「周波数」
4Gと5Gは、通信方式の世代を指します。通信方式とは、電波でデータをやり取りするときのルールのことです。LTEは4Gの中心となる方式で、日本ではLTEと4Gがほぼ同じ意味で使われています。5Gは4Gの次の世代です。4Gより速く、多くのデータを送れ、たくさんの機器を同時につなげることを目指しています。
対応バンドは、スマホがどの周波数の電波を受信できるかを示す項目です。電波は周波数ごとに区切られ、それぞれに番号が付いています。4Gのバンドは「B1」「Band 3」のように数字で書きます。5Gのバンドは「n77」「n79」のように、先頭にnが付きます。
道路にたとえると、通信方式は車の種類で、バンドは走る車線です。車が5Gに対応していても、契約したキャリアの車線を走れなければ、その回線は使えません。スペック表に「5G対応」と書いてあるだけでは、自分の回線で快適に使えるかどうかは分かりません。
Sub6とミリ波は同じ5Gでも性質が違う
5Gで使う周波数は、Sub6(サブシックス)とミリ波の2種類に分かれます。Sub6は6GHz未満の周波数のことで、日本ではn77・n78・n79が使われています。ミリ波は28GHz帯のような非常に高い周波数のことで、日本ではn257が使われています。
ミリ波は、一度に運べるデータの量が大きく、条件が合えばとても速く通信できます。ただし、電波が遠くまで届きません。建物や人の体、窓ガラスにも遮られやすいのが弱点です。そのため、ミリ波が使える場所は駅や競技場などに限られています。ミリ波に対応したスマホも一部の機種だけです。同じ機種名でも、販売された国によって対応状況が違うことがあります。ふだんの生活で5Gの恩恵を受けるのは、主にSub6のほうです。
「5G対応」と書いてあっても速くならない理由
4Gの周波数を5Gに切り替えている
キャリアは、4Gで使っていた周波数の一部を5Gに切り替えています。これを「転用」と呼びます。転用した5Gは電波の届く範囲が広い一方で、使える周波数の幅が4Gのときと同じです。そのため、速度は4Gとあまり変わりません。画面に「5G」と表示されていても、n77やn78などの5G専用の周波数で通信しているとは限りません。
キャリアの5G用バンドにスマホが対応していない
たとえばドコモは、5G専用の周波数としてn78とn79を使っています。n79に対応していないスマホは、n79しか届かない場所では5Gにつながらず、4Gで通信します。海外向けに作られた機種には、n79に対応していないものが少なくありません。
エリア・混雑・設定や料金プランの条件
5G専用の周波数は、4Gより電波の届く範囲が狭くなっています。建物の中では4Gに切り替わることもよくあります。利用者が多い時間帯や場所では、混雑で速度が落ちます。料金プランによっては、通信速度に上限があることもあります。速度が出ないときは、スマホの設定で5Gがオンになっているかと、プランの条件をあわせて確認してください。
SIMフリー機・海外版・中古端末で電波が弱くなる理由
主な原因は、スマホが対応しているバンドと、キャリアが使っているバンドのずれです。キャリアごとに使える周波数が国から割り当てられているので、同じ4Gでも使うバンドが違います。特に影響が大きいのは、プラチナバンドと呼ばれる700〜900MHz帯です。周波数が低い電波は遠くまで届き、建物の中や山あいにも回り込みやすい性質があります。郊外や屋内でつながるかどうかは、このバンドで決まることが多いです。
下の表は、各社が使っている主なバンドです。執筆時点の情報なので、周波数が追加・変更されている場合があります。契約前に各キャリアの公式サイトで確認してください。
| 回線 | 主な4G/LTEバンド | うちプラチナバンド | 5G専用(Sub6/ミリ波) |
|---|---|---|---|
| ドコモ | B1、B3、B19、B28、B42 | B19、B28 | n78、n79/n257 |
| au | B1、B3、B18(B26)、B28、B41、B42 | B18(B26)、B28 | n77、n78/n257 |
| ソフトバンク | B1、B3、B8、B28、B41、B42 | B8、B28 | n77/n257 |
| 楽天モバイル | B3、B28、パートナー回線のB18(B26) | B28、パートナー回線のB18(B26) | n77/n257 |
具体例を挙げます。バンド19に対応していない海外版スマホをドコモ回線で使うとします。都市部の屋外では問題なく使えても、郊外や建物の奥では電波が弱くなったり、圏外になったりしやすくなります。au回線では、バンド18か、その周波数を含むバンド26が同じ役割を担っています。
中古端末では、同じ機種名でも販売元によって型番と対応バンドが違うことがあります。キャリアで売られていたAndroidスマホは、そのキャリアが使うバンドを中心に作られていることがあります。そのため、別のキャリアで使うと、プラチナバンドや5Gのバンドが合わない場合があります。2021年10月より前に発売された端末には、SIMロック(他社のSIMを使えなくする制限)がかかっているものもあります。
通話にも注意が必要です。日本の大手キャリアは3Gのサービスを終えており、電話はVoLTE(4G回線を使った音声通話)が前提になっています。海外版の端末は日本のキャリアのVoLTEに対応していないことがあります。その場合、データ通信はできても電話がかけられません。また、海外版には技適マーク(日本の電波法の基準を満たしている証明)がないことがあります。技適マークのない端末を国内で使うと、原則として電波法違反になります。
ローミングは他社や海外の回線を借りる仕組み
ローミングとは、契約しているキャリア以外の回線を借りて通信することです。よく出てくるのは、海外ローミングと国内ローミングの2つです。
海外ローミングは、日本で契約したSIMのまま、海外で現地キャリアの回線を借りて通信することです。料金は国内とは別に決まっていることが多く、使い方によっては高額になります。出発前に、契約しているキャリアの公式サイトで、対象の国や料金、申し込みが必要かどうかを確認してください。スマホの設定にある「データローミング」は、海外での通信を許可するかどうかを決めるスイッチです。
国内ローミングの代表例は、楽天モバイルのパートナー回線です。楽天モバイルは、自社の電波が届きにくい一部の地域で、auの回線を借りています。このため、スマホがauのバンド18(またはバンド26)に対応していないと、その地域ではつながりにくくなります。回線を借りる場合でも、スマホの対応バンドは確認が必要です。
購入前に対応バンドを照らし合わせる手順
手順1:契約する回線が使う周波数を調べる
キャリアの公式サイトで、使っている周波数(バンド)を確認します。格安SIMの場合は、まずどのキャリアの回線を借りているかを調べます。そのうえで、借りている元のキャリアのバンドを見ます。最低限確認したいのは、プラチナバンドと、5G専用のSub6バンドです。
手順2:端末の正確な型番を確認する
新品なら、メーカー公式サイトの仕様ページで型番を確認します。中古なら、販売ページか、スマホの設定画面にある「端末情報」などで確認します。同じ機種名でも、国内版・海外版・キャリア版で型番が分かれ、対応バンドが違うことがあるからです。
手順3:スペック表のバンド番号と照合する
型番に合ったスペック表を開き、「LTE」「5G NR」などの欄に並ぶバンド番号を、手順1で調べた番号と比べます。ドコモ回線なら、4GのB1・B3・B19と、5Gのn78・n79が入っているかを見ます。B19がなければ、郊外や屋内で電波が弱くなりやすくなります。n79がなければ、n79しか届かない場所では5Gにつながりません。
手順4:動作確認端末一覧で最終確認する
多くのキャリアや格安SIM事業者は、動作を確認した端末の一覧を公式サイトで公開しています。一覧では、データ通信だけでなく、VoLTEでの通話、SMS、テザリングが使えるかも確認できます。中古端末の場合は、SIMロックがかかっていないかと、ネットワーク利用制限の判定も確認してください。ネットワーク利用制限とは、端末代金の未払いなどを理由に通信が止められる状態のことです。
迷ったときの判断基準
キャリアや格安SIMの公式サイトで売られている端末か、動作確認端末一覧に型番まで一致して載っている端末を選べば、バンドで困ることはまずありません。海外版や型番の分からない中古端末は、安くても、プラチナバンドとVoLTEに対応していると確認できるまでは候補から外すのが安全です。自宅や職場、通勤経路が郊外や建物の中にある人は、特にプラチナバンドへの対応を優先して確認してください。キャリアが使う周波数や端末の対応状況は変わることがあるので、契約や購入の前に公式サイトで最新の情報を確認してください。