RAMは「作業台」、ストレージは「収納棚」
スマホのスペック表には「8GB/256GB」のように容量が2つ並んでいることがよくあります。前の数字がメモリ(RAM)、後ろの数字がストレージです。どちらも単位がGBなので混同されがちですが、役割はまったく違います。
RAM(ラム)は、いま動いているアプリやデータを一時的に置いておく場所です。机にたとえると作業台にあたります。電源を切ると中身は消えます。ストレージは、写真・動画・音楽・アプリ本体などを保存しておく場所です。こちらは収納棚にあたり、電源を切っても中身は残ります。
作業台が狭いと、同時に広げておける作業が減ります。棚が狭いと、物をしまえなくなります。この違いが、あとで説明する不調の出方の違いにそのまま表れます。
「ROM」「内部容量」はストレージのこと
販売店やキャリアのサイトでは、ストレージが「ROM」と書かれていることがあります。本来のROMは読み出し専用の記憶装置を指す言葉です。写真を自由に保存できるスマホのストレージとは、厳密には別物です。ただ、日本の販売現場では慣用的に「ROM=ストレージ」の意味で使われています。「ROM 128GB」「内部容量 128GB」「ストレージ 128GB」は同じものと読んで問題ありません。
iPhoneの場合、AppleはRAMの容量を公式には公表していません。iPhoneの製品ページで選ぶ「128GB」「256GB」は、すべてストレージの容量です。
| 項目 | メモリ(RAM) | ストレージ(ROM・内部容量) |
|---|---|---|
| 役割 | 動作中のアプリやデータを一時的に置く | 写真・動画・アプリなどを保存する |
| 電源を切ると | 中身は消える | 中身は残る |
| 不足したときの主な症状 | アプリを切り替えると再読み込みされる、動作がもたつく | 容量不足の警告が出る、撮影や更新ができない |
| 購入後に増やせるか | 増やせない | 本体分は増やせない。SDカード対応機種なら外部で補える |
症状から見分ける:足りないのはどちらか
「ストレージの空き容量が不足しています」はストレージ不足
この警告は文字どおりストレージの不足を示しています。iPhoneでも「ストレージがほぼいっぱい」といった趣旨の通知が出ます。放っておくと、写真や動画が撮れなくなります。アプリの更新やOSのアップデートもできなくなります。旅行先で動画を撮り続けていたら撮影が止まった、というのが典型的な例です。
空きが残りわずかになると、スマホ全体の動作が重くなることもあります。OSやアプリが一時的なファイルを置く場所としてストレージの空きを使うためです。空き容量はゼロ近くまで使い切らず、ある程度残しておくのが安全です。
アプリを切り替えると最初から読み込み直すのはRAM不足
地図アプリで道を確認し、カメラで写真を撮ってから地図に戻ると、画面が最初から読み込み直される。ブラウザに戻ると開いていたタブが再読み込みされる。ゲームを少し離れただけで起動画面からやり直しになる。こうした症状は、RAMが足りないために、OSが裏で動いていたアプリを終了させてメモリを空けた結果です。ストレージの空きがいくらあっても、この症状は改善しません。
「アプリが落ちる」「重い」はどちらでも起こる
アプリが突然終了する、全体的に動作が重いといった症状は、原因が一つに絞れません。RAM不足、ストレージ不足、アプリ自体の不具合、OSとの相性などが考えられます。
まずはストレージの空きを確認します。iPhoneは「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」、Androidは「設定」→「ストレージ」で確認できます(Androidは機種によって項目名が異なります)。空きがほとんどなければ、ストレージ不足が原因の可能性が高いと判断できます。空きが十分あるのに、アプリの切り替えで再読み込みが頻繁に起きるならRAM側を疑います。特定のアプリだけが落ちる場合は、そのアプリの更新や再インストールを先に試します。
購入時の容量の選び方
ストレージ:128GBか256GBか
決め手は写真・動画の量と、クラウドに保存するかどうかです。なお、表示された容量をすべて使えるわけではありません。OSや最初から入っているアプリが一部を使います。
128GBで足りやすいのは、LINE・SNS・ネット・地図が中心で、動画をあまり撮らず、写真はクラウドに逃がせる人です。256GB以上を検討したいのは、4K動画(高画質な動画形式で、1本あたりの容量が大きい)をよく撮る人、容量の大きいゲームを複数入れる人、音楽や動画をダウンロードして持ち歩く人です。同じ端末を4〜5年使う予定の人も、アプリやデータが年々増えることを考えると余裕があるほうが安心です。
SDカードに対応していない機種では、本体ストレージを後から増やす方法がありません。迷ったら一段上の容量を選ぶほうが後悔しにくくなります。容量ごとの価格差は機種や販売店によって異なるため、公式サイトや販売ページで確認してください。
RAM:8GBか12GBか(主にAndroid)
ネット、SNS、動画視聴、写真撮影といった一般的な使い方なら、8GBで不足を感じる場面は多くありません。12GB以上が効いてくるのは、負荷の高い3Dゲームを遊ぶ場合と、多数のアプリを行き来しながら使う場合です。長く使う予定なら、それも12GB以上を選ぶ理由になります。OSの更新やアプリの高機能化、端末内で処理するAI機能の追加によって、必要なメモリ量は増える傾向にあるためです。
RAMはストレージと違い、どの機種でも購入後に増やせません。一部のAndroid機種にはストレージの一部をRAMの代わりに使う機能がありますが、速度は本物のRAMに及びません。スペック表では「RAM」の数値を基準に比べてください。iPhoneはRAMが公表されていないため、実際には世代(新しさ)とストレージ容量で選ぶことになります。
クラウド容量やSDカードは本体ストレージとは別物
iCloud・Googleドライブの容量
iCloudやGoogleドライブの「○GB」は、インターネット上の保管場所の容量です。写真などを預けて本体ストレージの空きを作る手段にはなりますが、RAMの不足は補えません。
執筆時点では、iCloudは無料で5GB、Googleアカウントは無料で15GB(Gmail・Googleフォト・Googleドライブで共有)が使えます。それを超える分は有料プラン(iCloud+、Google One)になります。容量や料金は変更されることがあるので、iCloud公式サイトやGoogle One公式サイトで最新の情報を確認してください。有料プランを解約して容量を超えた状態になると、新しいデータがバックアップされなくなります。超過が長く続いた場合の扱いも各社の規約で定められているため、解約前に必ず確認してください。
クラウドに同期しただけでは本体の空きは増えない点にも注意が必要です。iPhoneの「iPhoneのストレージを最適化」やGoogleフォトの「空き容量を増やす」のような機能を使うと、バックアップ済みの写真を本体から減らせます。その代わり、元の写真を見るには通信が必要になります。
SDカード(microSD)
microSDカードは、本体に差し込んで保存場所を増やす小さなカードです。iPhoneは対応していません。Androidでも対応は機種によって分かれ、上位機種では非対応のものが増えています。対応機種でも、アプリ本体は基本的に本体ストレージに入るため、SDカードは主に写真・動画・音楽の置き場です。本体より読み書きが遅いことが多く、カードの故障や紛失でデータを失うリスクもあります。SDカードを前提に本体容量を小さくするなら、スペック表で「microSDXC対応」などの記載と対応する最大容量を確認してください。
次の機種の容量を決める手順
まず、いま使っているスマホの設定画面でストレージの使用量を確認します。何にどれだけ使っているかも表示されます。128GBの機種でほぼ満杯なら、次は256GBが目安です。使用量が半分以下で、写真をクラウドに預ける運用を続けるなら、128GBでも足りる可能性が高いです。
RAMについては、いまの端末でアプリの再読み込みにストレスを感じているかどうかが判断材料になります。感じているなら、次はRAMが一段多い機種を候補にします。最後に、候補機種の公式サイトのスペック表でRAM・ストレージ・SDカード対応の有無を確認してから購入してください。