症状は二種類ある:繋がらないのか、繋がっても遅いのか
疑う場所は症状で変わる。Wi-Fiのアイコンが出ない、または「インターネット未接続」と表示される場合は、端末とルーターの間か、ルーターと回線の間で通信が切れている。アイコンは出ていて速度だけが遅い場合は、電波の届き方か、回線の混雑を疑う。
原因は一つに決まらない。端末、ルーター、回線のどこにでも起こりうる。そこで、手間が少なく効果の出やすい順に試し、各段階で直ったかを確認する。直ればそこで終わり、直らなければ次へ進む。この順序を守ると、無駄な設定変更や不要な買い替えを避けられる。
1分以内に試せる端末側の確認
機内モードをオンにして、10秒後にオフへ戻す
機内モードは通信機能をまとめて切る設定。オンオフすると、Wi-Fiと携帯回線の接続がやり直される。古い接続状態を掴んだままになっている場合は、これだけで復旧する。画面上端または下端から出すコントロールセンターや通知パネルの飛行機アイコンで切り替えられる。
これで直れば一時的な不調だった可能性が高い。頻繁に再発するなら、後述のルーター側の確認に進む。
接続先のWi-Fi名(SSID)を確認して繋ぎ直す
SSIDはWi-Fiの電波につけられた名前。設定アプリのWi-Fi画面を開き、意図した名前に繋がっているかを見る。近所の電波や、店舗・公共の無料Wi-Fiに自動接続していることがある。公衆Wi-Fiでは、ブラウザでログイン画面を開くまで通信できない方式が多く、これが「繋がっているのに見られない」の原因になる。
目的のSSIDを一度タップして切断し、選び直す。パスワードを求められる場合に備え、ルーター本体の側面や底面に貼られたラベルを先に確認しておく。
端末を再起動する
電源を切って入れ直すと、通信まわりの一時的な不具合はほとんど解消する。ここまでで直らない場合は、原因が端末の外にある可能性が高くなる。
他の端末でも同じか試す — 切り分けの分岐点
家族のスマホ、パソコン、タブレットなど別の端末を同じWi-Fiに繋ぎ、同じ症状が出るかを見る。ここが最も重要な分岐になる。
他の端末は問題なく使えるなら、原因は自分の端末側にある。ネットワーク設定のリセット(後述)や、OSの更新、端末の故障を疑う段階に進む。
他の端末でも同じように繋がらない、または遅いなら、原因はルーターか回線側にある。以降のルーター確認へ進む。
あわせて、Wi-Fiを切って携帯回線(4G/5G)だけで通信できるかも試す。携帯回線では問題なく、Wi-Fiだけが不調なら、Wi-Fi側の問題だと確定できる。
ルーター側を確認する
電源を抜いて1〜2分待ってから入れ直す
ルーターの再起動は、ボタンではなく電源アダプターを抜く方法が確実。抜いてすぐ挿すと内部の状態が残ることがあるため、1〜2分待つ。光回線では、壁から来た線が繋がる終端装置(ONUやモデム)とルーターが別々の機械になっていることが多い。その場合は両方の電源を抜き、終端装置から先に入れ、ランプが安定してからルーターの電源を入れる。復旧まで数分かかる。
再起動で直るが数日で再発する場合は、ルーターの発熱や経年劣化が疑わしい。
設置場所と距離を見直す
Wi-Fiの電波は障害物に弱い。金属製の棚の中、テレビの裏、水槽や冷蔵庫の近く、床置きは電波が届きにくい。ルーターは床から1メートル以上の高さに置き、周囲に物を密集させない。使う場所とルーターの間に、鉄筋コンクリートの壁や複数の扉があると大きく減衰する。
ルーターの近くまで移動して速度が戻るなら、原因は距離と障害物。設置場所の変更や、電波を中継する機器の追加で改善する。
2.4GHzと5GHzを使い分ける
多くのルーターは二種類の電波を出しており、SSIDの末尾で見分けられることが多い。特性が逆なので、症状に応じて切り替える。
| 種類 | 届く距離 | 速度 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 2.4GHz | 遠くまで届き、壁に強い | 遅くなりやすい | ルーターから離れた部屋、別階 |
| 5GHz | 届きにくく、壁に弱い | 速く安定しやすい | ルーターと同じ部屋、近距離 |
2.4GHzは電子レンジやBluetooth機器、近隣の家庭のWi-Fiと電波が重なりやすい。夕方から夜だけ遅い、電子レンジを使うと切れるという症状なら、5GHzに切り替えると改善することが多い。逆に、離れた部屋でだけ切れるなら2.4GHzを選ぶ。両方が同じSSIDにまとめられている機種では、自動で切り替わるため手動選択はできない。
回線側の障害や制限を確認する
ルーターを再起動しても全端末で繋がらない場合は、回線側を疑う。契約している回線事業者やプロバイダの公式サイトには障害・メンテナンス情報のページがある。携帯回線でそのページを開き、自分の地域が対象になっていないかを見る。工事や障害であれば、復旧を待つ以外にできることはない。
ホームルーターやモバイルルーターを使っている場合は、契約したデータ量を超えて速度制限がかかっていないかも確認する。制限の条件と残量は、契約先の会員ページで確認できる。制限内容は契約プランごとに異なり、変更も多いため、必ず契約先の公式情報で確かめる。
光回線でランプの色や点滅が普段と違うときは、その状態が何を示すかを機器の取扱説明書かメーカー公式サイトで確認する。異常を示すランプが出ていれば、自力での復旧は難しい。
それでも直らないときの次の手
ネットワーク設定のリセット
他の端末は正常で自分の端末だけが不調な場合に有効。スマホの設定アプリから、ネットワーク設定のみを初期状態に戻す機能を使う。写真やアプリは消えないが、保存済みのWi-Fiパスワード、Bluetoothの登録、モバイル通信の設定はすべて消える。実行前に、自宅Wi-Fiのパスワードを手元に用意しておく。会社や学校のWi-Fiは、再設定に管理者の情報が必要な場合がある。
機器の買い替えを検討する目安
ルーターは消耗品で、内部の部品が劣化する。おおむね5年前後の使用で、再起動しないと繋がらない、夜になると極端に遅いといった症状が出やすくなる。購入時期が思い出せないほど古い機器なら、買い替えが最も確実な解決策になる。契約している回線の速度に対して古い規格のルーターを使っている場合も、速度が頭打ちになる。価格や対応規格は変動が速いため、購入前にメーカーや販売店の公式情報で最新の仕様を確認する。
問い合わせ先を選ぶ
問い合わせ先は症状の出方で決まる。全端末が繋がらず、終端装置のランプが異常を示すなら回線事業者。ランプは正常だがインターネットに出られないならプロバイダ。特定の端末だけが不調なら端末メーカーかキャリアのサポート。ルーターの設定画面に入れない、機器が異常に熱いといった症状ならルーターメーカー。
連絡する前に、いつから、どの端末で、どの段階まで試したかをメモしておくと、案内が早く進む。
どこまで自分で試し、どこから任せるか
ここまでの手順は、上から順に「費用ゼロで数分」から「機器の買い替え」へと負担が増える。機内モード、端末再起動、ルーター再起動の三つで直らず、他の端末でも同じ症状が出るなら、それ以上の設定変更を自己流で重ねる価値は小さい。設置場所と周波数帯の見直しまでを試し、改善しなければ回線事業者への問い合わせに切り替える。
契約に関わる話、たとえばプラン変更、機器のレンタル解約、回線の乗り換えは、条件の読み違いが違約金や二重契約につながる。判断の前に、契約先の公式サイトと契約書類で条件を確認し、不明点はサポートに直接尋ねる。